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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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銃口の向く先に。
*
濃緑色の月光の下で、幻影だけが踊る。
一人は足下の人間と対になり動く手足の長い拘束着の男。
一人は棺桶を背負う巨大な喪服の男。

「…喰らえ!!」
手足の長い幻影_クラオカミが絶え間なく剣撃を繰り出し、喪服の男_タナトスを攻め立てる。
戦況は終始堂島とクラオカミの押し進めるペースで運ばれていた。

乾いた残響音が響き続ける廃ビルの室内、その片隅で幾月は硬直したまま異形達の戦いを戦々恐々と眺めていた。時折戦闘に巻き込まれた壁や床の一部が砕け、破片が派手な音を立てて飛び散り、足下を粉塵が舞う。

冗談じゃない。
ごめんだ。こんなところで死ぬのはゴメンだ!
くそっ、くそっくそお!

腹の中でどれだけ舌打ちしても身体はぴくりとも動かない。
自分の意図とは逆に引きつったままのこめかみが不細工に痙攣するだけである。

誰か。
誰か助けに来ないのか…。
くそっ…。

目の前のおぞましい影達を眺めながら、幾月はただただ外部からの望み薄い救出を待っていた。

*

死神が膝を折り、その場に手を付いて堂島を憎々しげに睨む。
既に肩で息をしている。時間の問題だ。
堂島はそう判断すると、静かににじりよる。

「どうやら、チェックメイトのようだな」
『………』
「何か言いたげだな。後生だ、聞いてやる」

『フタバは…どうするの』
死神の問いかけに、堂島はにこりともせず答えた。
「お前の予想している通り、とだけ答えておこうか」
死神は、金属の仮面の下に苦渋をにじませ肩を落とす。

『くっ………身体が、もう少しまともに動きさえすれば…!』
「小僧はたっぷり制御剤を投与されたのだろう?栄養補給もこの人数じゃ足らなかったか。お陰であまり消耗せずにカタがついた。ありがとよ」

仮面の奥から、殺意のこもった視線が堂島を射抜く。
だが、彼はぴくりとも動じる事は無く死神の眼前に歩み寄り、召喚機をこめかみに構えた。

「呪殺は効かん。試して分かっただろう?…ではな。消えろ」

堂島が引き金を引こうとした瞬間、彼らの耳元に微かな歌声が聞こえた。



……
………。


「…?」
『これは…』

エウリュディケ。
既に止まったはずの、美しくも悲しい歌声。


アメージング・グレイスが聞こえる。


と、同時に堂島の背筋に強烈な寒気が走り、反射的に彼は後方へと飛び退いていた。

『…あぶない!!』
死神も双葉を抱え飛び退くと、その数秒後にビルの窓側半分が派手な轟音を立てて崩れ去った。

「…!!?」
予想だにしなかった事態に、柄にもなく堂島は驚いていた。
だが、それは自分のすぐ横にいる死神も同様のようである。

巨大シャドウがいる。
ぶよぶよの胴体から何本も伸びた巨大な手が、探るように壊れたビルの内部をうごめく。
隙間から覗く、本体頭部の白い仮面。
その額には「0」の英数字が刻まれていた。


『 おにさん みーつけたー 』

白い仮面の奥からノイズ混じりの子供の声が聞こえ、堂島は思わず背筋を震わせた。


「…くっ、貴様が呼び寄せたのか」
『し、知らない…いや、見た覚えはあるけど、呼んでない!しかもこいつら…僕らを…』

『おにさん みつけたー』
『こうたーい』
『こうたいだよー』

死神が言い終わらぬ間に、シャドウの手が堂島と死神に襲いかかってくる。
叩きつけるような一撃を避けると、今度は別の手が伸び堂島を壁面へと薙ぎ払う。
「……がっ!」
頭部と背中を思い切り強打し、激痛が脳髄を駆け抜ける。
短くうめいて、堂島は一瞬遠のきかけた意識を掴み直すと立ち上がった。

「クラオカミ!」
幾重にも重なって襲いかかるシャドウの手を剣撃で切り落とし、氷結で凍らせながら後方へと下がる。
見れば、死神も同様に剣でシャドウを薙ぎ払い片手で必死に母胎の少年を守っている。

どういうことだ。
死神は上位シャドウ、普通のシャドウは反抗するはずはない。
それどころか、邪魔者の俺を倒すために協力するか、さもなくば同化しようと死神に擦り寄っていくはずなのに、何故俺と同様に襲われているのだ?

まさか、こいつ、報告書にあった…。

後ずさろうとしたその時、背中の中央に硬い物があたる感触がして摺り足を止める。
気配の正体を察して、堂島は背中に冷たい汗が伝うのを感じた。

「やはり、運命は僕に味方したようですね」

幾月が、彼の背後でひきつった笑みを浮かべている。
しまった、さっきの一瞬の昏倒で影縫いが解けたのか。
そう理解し身を翻した瞬間、右の二の腕に焼けるような激痛が走った。

「ふは、ふははははははあはあははは!!死ね!!ばけものどもめえ!!」

乾いた銃声が三回、室内に響く。

その音を最後に、視界が真っ白になり、彼の意識は急速に遠のいた。












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