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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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隔たりのあちらとこちらで。
*

第一試合:早押し連想クイズ

アンアン(庵)   選択→語学・文学(連想ならこれが一番勝手がいい)
サツマハヤト(大輔)選択→歴史・地理・社会(俺はこれで)
語学×2・歴×2・趣味雑学・スポーツ・エンタ装填完了。


ステージのスクリーン、舞台の表と裏でお互いに「へえ」と鼻を鳴らす。
最初から本気なのが双方分かったので、自然と口元がにやつく。
筐体に着席した庵の背後からセコンドとして対戦の様子を見ていた晶は、彼の雰囲気がすぐに変わったのを見て取った。
彼の周囲だけが、ざわついた会場の中で静かになる。凪いだ海のように。
さっきの試合とは明らかに雰囲気が格段に違う。敦も夏彦も何となくは感じているだろうが、きっと集中の深度を把握しきれているのはこの会場内でも自分だけだろう。普段からクイズに没頭している際には周りを無言で黙らせる気迫を放っているが、ここまで周囲を沈静させるような気配は、久しくなかった。
庵が、久しぶりに本気で集中してる。
自分の前じゃ滅多に、いや全くこういう事ないのにな。
そう思うと、晶は少し悔しくもあった。
隣では、察した杏奈が頑張って、という代わりにぎゅっ、と両手の掌を握りしめて見守っている。
庵にはののちゃんがいるから心配いらないのに、それもまた少しばかり悔しい光景であった。


第一問:語学・文学
【擬態語】
【きゃあきゃあ】【ブルブル】【赤ちゃん】【絵本】【フランス語】【擬声語】【ゆらゆら】【幼児教育】

「「はい!」」

サツマPUSH!(アンアン+0.01秒差)

回答文字制限:無し
回答文字群:【ウ】【オ】【パ】【リ】

【オノマトペ】○ 正解!+10pt


「(速い!)」
思った通りの展開に、庵は先制されたにも関わらず口元の笑みが止まらなくなる。
俺は開くか開かないかの瞬間で押したはずだったけど、と問いかけるように画面向こうの相手に思う。
相手はしてやったりな顔をしているのか、それとも鬼みたいな形相で食らいついているのか。
想像するだけで心地よい。面白いじゃないか。
「(………いい速さだな)」
にやあっ、と歯を見せたまま、画面を食い入るように見つめてボタンにかけていた右の掌を外し、左手の指先をボタンにそっと添え直す。あっ、と晶は気付いて「そこまでやるのか」と驚く。

「どうしたんですか、晶さん?」
「押し方変えてきた」
「えっ?…あら、ホントですね。左手で?」
「利き腕は右なんですけど、コンマちょい早くするのには左の方がいいんだって。親指をボタン端に添えて、指先だけですぐに押し込む方法。…普段は面倒らしくて滅多にしないんですけど」
「まっ、じゃあ普段は普通に手加減してたって事なんですか?」
「いや。右手でも対応出来る、ってだけですよ。庵は尋常じゃなく押すの早いから。…僕だって、三年のアカデミックの決勝でしか左押しは見た事ないんです。つまり、手加減云々じゃなくフルパワー出す時にしか使わないんじゃないかと」

第二問:歴史・地理・社会
【ジャポニズム】
【19世紀末】【有機的曲線美】【植物模様】【ミュシャ】【エミール・ガレ】【フランス語で新しい芸術】【ヨーロッパで流行】【ティファニー】

「「はい!」」

アンアンPUSH!(サツマ+0.01秒差)

回答文字制限:無し
回答文字群:【シ】【リ】【ア】【ル】

【アール・ヌーボー】○ 正解!+10pt

「(…これでもまだ押しこめてねえのかよ!)」
初手で取れたため油断したか、と再び自戒するも、 サツマ=大輔は庵の異常な押し込みスピードをとことん凌ぐつもりでいた。
とってやる。絶対とってやるよ。
あの日負けた分だけ、俺は進歩してるはずなんだからな。
大輔の思いは、あれからずっと揺るがなかった。
もし機会があるならいつか打ち負かしてみたいと思った相手と、こうして公式の場で戦える幸せ。
そして絶好の契機。これを逃してまた負けたら、男の立つ瀬が無い。
「(こんな日のために、ずっと押してたようなもんだよな、相棒よ!)」
画面の中にいる、応えるはずもない二次元のアバターに心中で話しかけてしまう。
普段の生活なら「二次元脳乙」と言われそうな話だが、自分としては不自然さを感じはしない。
永らく使い込んだ代物に神霊を視る日本ならではの、八百万の全てを敬う気質がそうさせるだけである。
何せ、一年もの間難問奇問悪問に加え悪意中傷苦楽を共にした文字通りの「分身」であるのだから。
不思議と、どこかで誰かが微笑ったような気さえした。

いける。いや行く。行きたい。
あの日の向こうへ。

大輔の押し殺したような熱い気配に、スタッフ二人も固唾を飲んで背中を見守る。クイズの出題担当は別ブースにいるため、イカサマは一切通用しない本気勝負の熱気が、間近でありありと浮かんで消える様に言葉も出ない。

「(正真正銘の天才にガチで勝負出来るってのもすっげえが)」
「(その勝負が俺らのついてけないレベルってのもまた)」
頑張れ俺ら凡人の代表よ、とスタッフであるのも忘れて応援してしまう。

めまぐるしく変わる画面の映像とスクリーンを挟んで、王者服のアバターとパイロットのアバターは会場の静かに睨み合っていた。

【8月12日夕方・大輔リベンジ中・庵押し込み中・見守る観衆・続く】












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