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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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確信と決意。
「…僕が、行きます」
「…うん?」
「僕、双葉君を助けに行ってきます。今現状としてやれる事はたった一つ。倒せないなら、二つの巨大シャドウを戦闘させないようにすることだけ。双葉君を探し出して保護し、影時間が明けるまで逃げ続けます。それなら、僕にでも出来ますよ」
蒼白になっていた堂島の表情に、怒気と共に瞬く間に血の気が戻る。

「何を言っている!あの小僧は危険だ!守ってやる必要は無い!それにお前は戦えないんだ、万一死神に襲われるか、『愚者』に追いつめられでもしたら…」
「でも巨大シャドウにこれ以上力を与えるのも良くないんじゃないですか?!それに双葉君は…」

興奮し、怒りに任せて吠えそうになった自分を自制し、榎本は一拍置いて言葉を繋ぐ。

「…双葉君は人間です。あの子は、巻き込まれただけ。ずっと大人の都合で振り回されて傷ついた少年です。
8年前…あの時、島で治療を施した事、正直正しかったのかどうかずっと悩んでいました。
だけど…だけど、こうして、あの子と向き合えてよかったと、僕は思っています。
成瀬さんと過ごした時間は、成瀬さんにとってもあの子にとっても、きっと無駄なんかじゃなかった。
今のあの子の中には確かに『日向二葉』としての傷が心の奥底に残っています。
ですが…
それ以上に、強い意志を感じています。
誰かを守りたい、力になりたい、強くなりたい…。
そうした思いを抱き、前を向いて歩こうとしている彼を、僕は、救い守りたいんです」

「………」

堂島は、何も言わず、ただ唇を噛み締めて俯いていた。
榎本の固い決心もそうだが、それ以外手段が無い以上、止める事は出来ないと分かったからだ。

「…ステルスをかけておきますね。それで、ゆっくり影時間が明けるまで待っていて下さい」
「いや、いい。それは自分のためにとって…」

堂島が言い終わらぬ間に、榎本は眠りの魔力で堂島をそっと昏倒させる。
静かにビルの薄暗い谷間へ横にさせると、シーサーを召喚し意識を集中させた。

「シーサー、ステルス発動!」

堂島の身体を覆うように光のカーテンが現れると、堂島の姿が光と共に消え去る。
シャドウからの逃走用スキル、ステルス。
一時的に姿を隠し、周囲の視界から見えないように魔力を施す技。
昔は散々お世話になった術だ。
一人、もしくは一カ所に集中してしか発動できないため、もう自分用には使えない。
だが、不思議と榎本は恐怖も畏れも感じなかった。

「…堂島さん。僕には分かってますよ。貴方は、ずっと成瀬さんを助けたかったんですよね」

熱いものが喉元に込み上げてくるのを堪えながら、榎本は壁にもたれて横たわる堂島に一人語りかける。

「あの時、死神を生かし、やり逃がした事で成瀬さんの人生全てが狂ってしまったと、そう思われて苦しんでましたね…。
何も言われなかったけど、僕には嫌でも分かった。
他の仲間の人たちがみんな成瀬さんも含めてこの島で殺して、死神の存在ごと抹消した方がいいと思ってたのに、
堂島さん、貴方だけは僕と成瀬さんの味方だった…。
僕、ずっとこの力が、自分のペルソナだけが持つ、『人の思念を読み込んでしまう』能力…大嫌いでした…。
人の思いが、望んでもないのに流れ込んでくる。
それを製御出来るようになるまでに、僕はすっかり人間不信になってました。
どんなに綺麗な人でも、聖人君子だと言われてる人でも、内面の醜さが見えたら信じることなんか出来ない…。
だから、僕はずっと逃げ続けました。
ペルソナを使って、現実からも、兄弟からも、母親からも…」

知らず知らずの内に、榎本は泣いていた。
ずっと臆病者の仮面に隠していた、苦痛を洗い流すように。

「…でも、そのせいで僕は生き残ってしまった。
無力さ故に毒にはならないと判断され、桐条にいいように使われて、それを甘受して生きてきました。
他のチームのメンバーが死んでいく。
僕は、生き残った。出来る事はたくさんあったはずなのに…。
なのに、僕は結局何も出来なかった…。

堂島さん。だから、僕は貴方を助けたい。
出来れば、貴方だけじゃなく、成瀬さんも助けたかった…。
貴方と成瀬さんのように、本当に信頼しあえるような誰かが、僕は欲しかった。
僕にとって、あなた達は太陽だったんだ…。

…ごめんなさい。
もう行かないと。
僕、逃げるの得意です。子供の頃から、それだけは得意でした。
だから…心配しないで下さい。
影時間が明けたら…また、会いましょうね。その時は…」

最後の言葉を飲み込んで、榎本は顔を上げる。
満月が、鈍い緑色に輝いている。

影時間は、まだ終わらない。

振り返らず、榎本は気配のうごめく方向へと急いで駆けていった。












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