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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

言い訳大魔王。
*
明けて13日。
大半の九州アンサーが(飲み会ついでに)帰途につき去っていったが、アーサー大メンツ+αはホテル側の厚意でゆったり延泊中。が、観光もせず一日ぐったりと就寝しきってホテル内で寝入っていたのを、後々思い出しては損したなあと面々は語り合ったという。夕方から起き出すも、夜はほぼ取材に関しての説明と相成って、晶はいよいよ事態に窮していた。

本来なら、昨晩断固飲みになど行かず、一人颯爽とホテルに戻って夏の夜空の下で杏奈に爽やかに告白をし、あわよくば取材の打ち合わせまでグラバー園と言わないまでもネーデルテンボス内を下見がてらお散歩デート…とか妄想していて、そのまま妄想で終わらせてしまったのである。
お誘いのメールはおろか、夜の取材打ち合わせ時刻になるまで、杏奈に会うことすらしなかった…いや出来なかったのである。

誤解なきようにお伝えすれば、晶は相当な酒豪体質であるらしい。
脂っこいものを食べ過ぎて胃もたれはしたものの、今日も朝からすっきりと目覚めまるで酔いを引きずっていない。
が、このていたらくである。
むしろ酒気帯びでも告れないんじゃないのと言いたくなるほどのチキンっぷりを発揮し、例えるならチキンレースで全問一つ押ししかしないんじゃないのお前ってくらいのチキンっぷりでチームメンツから無言で威圧されてなおこのざまである。
安住晶、一生の不覚と枕に突っ伏してさめざめと泣いていたのは言うまでもない。
その彼を冷めた視線で見つめていた六つの視線については語るにも及ばない。

杏奈は、お盆の15日には実家の佐世保に帰らなければならない。
ただ、ネーデルと実家は電車で四・五駅程度と目と鼻の先のような距離なので15日早朝に帰ればいいらしく、親にも了承済みとのこと。
つまり、副賞の園内デート=『ネーデル新企画・コスプレ園内周回プラン紹介』の取材日である14日が、告白&あわよくばデート約束の最終リミットとなっていた。
取材中もメインは庵と杏奈。園内デートプランと言えば聞こえばいいが、全員がこのクソ暑い中で中世貴族のコスプレをして、杏奈は姫君、庵は執事、他三人は「お姫様をご案内する従者」役。接触機会は思っていたよりもずっと少ない。
段取りと衣装合わせもそこそこに、杏奈は庵と部屋に残され、敦や夏彦と共に打ち合わせからも退散させられてしまった。
「まあ、俺らはそのくらいが気楽でいいが」
「晶先輩、大丈夫ですか?」
後輩にも心配されてるようでは立つ瀬がない。が、大丈夫と言い切れない我が身の切なさよ。
早く告ってしまえばいいのに、こうしてウジウジイジイジと煩悶ばかりを繰り返している。
クイズ台の前ならノリでガンガン押せ押せムードにもなれるというのに、平時の落差の激しさに晶自身も全くもってがっかりである。
そんな晶を見透かすように、既に四方八方からチクチクと念押し攻勢がやってきて、晶をせっつくように畳みかけていた。
まず手始めに曙&鳥海コンビ。
二人はアン大優勝が決まると安心したのか、飲み会の途中から合流してきてそっと「お邪魔しないようにするから」と、散々飲み食いして二次会解散後に実家へそのまま直帰してしまった。
「中華街はアタシの庭よ」と豪語していたが、タクシーの運転手とも電話一本で五分到着という向こう三軒顔見知りパワー恐るべしである。
深夜二時過ぎに、曙から気合い入れと称した正拳突きをみぞおちにお見舞いされあわやリバースしかけたのも、酒臭いながら良い思い出だ。「おかしなマネしたらこの二百五十六倍返しにするよ」というドスの利いた曙のバリトンボイスも良い思い出となることを願いたい。

「しっかりやれよ、勝者」
気を遣ってか一足先に博多へ帰っていった大輔にもケータイ越しに発破をかけられ、晶は再びのヘタレ病再発に頭を悩ませていた。それもこれも愛されてる証拠…と言うよりも、杏奈の底知れぬ人気ぶりを痛感させられて余計気が重い。
大人しい淑女である彼女だが、それ故に性を問わず好かれている。今回の事でそれがよく分かった。
本人も恐縮するばかりでなく、もう少し自覚した方がいいと思う。

…いや、されたら逆に困る。かなり困る。大いに困る。

「しっかりやれって言われても…」
結局、13日は彼女の顔をまともに見ることも出来ぬまま、低反発枕に顔を突っ伏して筋肉痛と日焼けで火照る身体をよじるばかりであった。

【8月13日・もったいない・敦日焼けでヒリヒリ・夏彦二日酔いでぐったり・続く】












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