( ´ω`)「業務連絡ですお。…長崎編が済みましたら、ひとまず夏編終了です。しばらくは徐行運転…もといまったり更新となります。今現在の仕事等の兼ね合いでの予定ですが、9月以降より不定期でたるあん企画のお題に挑ませていただこうと思っております。もうしばらくウンウン唸る時間をいただけたら幸いです…m(__)m 以上、中の人に代わりまして、ご連絡いたしました。」
かなり遅くなりそうで、お二方ともすみませぬorz でも、頑張ります!
追記から、夏の続きをお楽しみいただけたらと思います。
*
こういうのもまた幸せ。
かなり遅くなりそうで、お二方ともすみませぬorz でも、頑張ります!
追記から、夏の続きをお楽しみいただけたらと思います。
*
こういうのもまた幸せ。
*
目覚めると、既に夕方だった。
インタビューをどうにかこなした後に、そのまま横になったからすぐに寝入ったらしい。
寝ぼけた頭をかきむしり、ベッドから飛び起きる。
頭痛は治まったようで、鎮痛剤の余韻である痺れた眠気が僅かに残っていてまぶたを重くする。
薬物の作用で起こる眠気は基本的に好きになれない。いかにも「眠くしてます」というけだるさが身体のそこかしこに残って脳の動きを鈍らせる。身体が本調子でないのを再認識させられるし、何より思考回路まで鈍るこのじんわりとした人工的な影響を実感させられるのが好きじゃない。
治りかけの病気に焦れてる子どもみたいな言いぐさだが、尻の座りが悪くてならない。
西日のピークも過ぎ、夜景の紫紺に染まる屋外を全面ガラス張りな最上階スイーツの窓越しに見下ろす。
日はとっくに落ちて、既に大村湾の水平線に沈んでいる。僅かに海と空の境界に朱色の余韻を残すばかり。
昨晩既にテンボス関係者から丁寧な賛辞をいただき、あのカママネージャーからも一応形式的には礼をもらったので不満はない。礼の後にぼそりと「実は…」と言いかけたのは笑顔でシャットアウトしてやったが、これも別に良しとしてもらおう。
給与ももらったし、明日にはこのホテルから撤収だ。
アンサープレイヤー通信網(=曙からの九州アンサー情報)によれば、大輔さんは酔い潰れた後、博多へ強制連行されたらしい。お盆は帰省ラッシュで書き入れ時だから、これは伯楽のおかみさんの意志が動いているように思えてならない。
不憫すぎる。
…結局、九州王者は分からずじまいだが、それもまた良し。
北九州の大成功を受け、今度は南九州・鹿児島でもクイズ大会が急遽(なのかどうかは真に怪しいが)開催決定したそうで、今度はそちらに(急遽)ゲスト出演するそうだ。無論、俺らは出ない。九州アンサー陣は根こそぎ自費で鹿児島への大移動を計画中だとのことなので、あれだけの熱意があるなら地元民だけで充分に盛り上がるだろう。
むしろ、関東からあの一枚岩の連帯感と強固な結束の生み出す気迫の渦に飛び込んでくる猛者がいるなら、それはそれで尊顔を拝んでみたいものである。
で。自分たちはといえば、お礼参りに行くべきか、行かざるべきか。
そこが大問題だ。
寝起きで重い頭を鬱陶しく感じていると、ドアをノックする音が聞こえた。
*
「庵、具合どう」
ソファに差し向かいで座って、自前のTシャツに着替えた晶のはにかみを眺めていた庵は「もう平気」とつとめて明るく返す。
「杏奈さん、何て」
「まる」
「おおっ」
おめでとー、と小さく音をさせず拍手すると、晶は柄にもなく耳まで紅潮させてうなじを掻く。
「撮影の合間…と言っても、もう随分後にゴンドラで二人きりになれた時に、ようやくはっきりと言い出せて」
「おいおい、俺の代わりだったらかなりチャンスがあっただろうに」
「すぐそばにカメラマンと取材スタッフがいるから、逆にハードル爆上げだったんだってば」
本当、密着されまくって大変だったんだよと、本日の苦労をつとめて淡々と語る晶の様子に、庵は珍しく保護者のような微笑ましさを覚える。「ボクは恋のプロフェッショナル(キリッ)」と、自分に対してはいつも恋愛のセンパイみたいな看板下げてる晶が、言い訳がましく愛の告白へ至る道程を説明している様は正直可笑しい。
それが、自分のみならずきっと他のメンバーから見ても予定調和なたどたどしさであるのは、晶の人柄からは察するに余りあるほどに分かりやすい。
告白ですら、これほどあれこれと格好ばかり気にして踏み切れない男だ。
後は、デートの行き先とかプレゼント、デート当日に話す話題なんかで悩み過ぎて、もじもじし過ぎて相手にじれったく思われないように気をつけろとご丁寧に忠告を添えたくはなるものの、敢えて口にはしない。どうせ黙ってたらもてる容姿なのだ、恋愛相手に困らない素養を生まれつき備えているような友人にこちらが説教垂れるのはおこがましいではないか。
…いや、ひがみとかそういうのではなく。そりゃ、少しは苦労しろよとは思ってる。今度の恋のお相手は誰から見ても最上級レベルなのだし。…と、思ってるが、やはり言わない。言うだけ野暮だ。
「ともかく、これで僕の旅の目的は全部果たせたよ。実家にも帰ったし、杏奈さんにも告白出来たし」
ありがとね、と囁くように言われ、ただ微笑み返す。
晶の全身から、抜けるように疲労が滲むのが見透かせる。一仕事終えた男の、心地よい休息の姿。
「…とまあ、とりあえずグラバー園での夜デートは来年へお預けになっちゃったけど、よく頑張ったと思うな僕」
「充分花丸だよ。東京帰ったら、ダブルデートでもすっかね」
「おや庵にしてはいいアイデア」
「おやおや俺だってたまには気の効いたアイデアくらい出しますよ」
「おやおやおや」
「まあまあまあ」
お互いに吹き出すと、意味無く腹の底からクックックと顔を見合わせて笑いを堪える。
「何言ってんだ俺らは全くもう」
「つかニヤニヤしすぎてきもいね僕ら」
「幸せだからいいんじゃね」
「お互いにね」
「な」
「日焼けが痛いな」
「俺まだ頭少し痛いわ」
「大丈夫?何か飲む?」
「平気。ありがと」
後はなしくずしでとりとめなくだべり、一時間後に晶は入った時と同じくはにかみながら「じゃあ」と部屋を後にした。
【8月14日・あらあらうふふ・続く】
目覚めると、既に夕方だった。
インタビューをどうにかこなした後に、そのまま横になったからすぐに寝入ったらしい。
寝ぼけた頭をかきむしり、ベッドから飛び起きる。
頭痛は治まったようで、鎮痛剤の余韻である痺れた眠気が僅かに残っていてまぶたを重くする。
薬物の作用で起こる眠気は基本的に好きになれない。いかにも「眠くしてます」というけだるさが身体のそこかしこに残って脳の動きを鈍らせる。身体が本調子でないのを再認識させられるし、何より思考回路まで鈍るこのじんわりとした人工的な影響を実感させられるのが好きじゃない。
治りかけの病気に焦れてる子どもみたいな言いぐさだが、尻の座りが悪くてならない。
西日のピークも過ぎ、夜景の紫紺に染まる屋外を全面ガラス張りな最上階スイーツの窓越しに見下ろす。
日はとっくに落ちて、既に大村湾の水平線に沈んでいる。僅かに海と空の境界に朱色の余韻を残すばかり。
昨晩既にテンボス関係者から丁寧な賛辞をいただき、あのカママネージャーからも一応形式的には礼をもらったので不満はない。礼の後にぼそりと「実は…」と言いかけたのは笑顔でシャットアウトしてやったが、これも別に良しとしてもらおう。
給与ももらったし、明日にはこのホテルから撤収だ。
アンサープレイヤー通信網(=曙からの九州アンサー情報)によれば、大輔さんは酔い潰れた後、博多へ強制連行されたらしい。お盆は帰省ラッシュで書き入れ時だから、これは伯楽のおかみさんの意志が動いているように思えてならない。
不憫すぎる。
…結局、九州王者は分からずじまいだが、それもまた良し。
北九州の大成功を受け、今度は南九州・鹿児島でもクイズ大会が急遽(なのかどうかは真に怪しいが)開催決定したそうで、今度はそちらに(急遽)ゲスト出演するそうだ。無論、俺らは出ない。九州アンサー陣は根こそぎ自費で鹿児島への大移動を計画中だとのことなので、あれだけの熱意があるなら地元民だけで充分に盛り上がるだろう。
むしろ、関東からあの一枚岩の連帯感と強固な結束の生み出す気迫の渦に飛び込んでくる猛者がいるなら、それはそれで尊顔を拝んでみたいものである。
で。自分たちはといえば、お礼参りに行くべきか、行かざるべきか。
そこが大問題だ。
寝起きで重い頭を鬱陶しく感じていると、ドアをノックする音が聞こえた。
*
「庵、具合どう」
ソファに差し向かいで座って、自前のTシャツに着替えた晶のはにかみを眺めていた庵は「もう平気」とつとめて明るく返す。
「杏奈さん、何て」
「まる」
「おおっ」
おめでとー、と小さく音をさせず拍手すると、晶は柄にもなく耳まで紅潮させてうなじを掻く。
「撮影の合間…と言っても、もう随分後にゴンドラで二人きりになれた時に、ようやくはっきりと言い出せて」
「おいおい、俺の代わりだったらかなりチャンスがあっただろうに」
「すぐそばにカメラマンと取材スタッフがいるから、逆にハードル爆上げだったんだってば」
本当、密着されまくって大変だったんだよと、本日の苦労をつとめて淡々と語る晶の様子に、庵は珍しく保護者のような微笑ましさを覚える。「ボクは恋のプロフェッショナル(キリッ)」と、自分に対してはいつも恋愛のセンパイみたいな看板下げてる晶が、言い訳がましく愛の告白へ至る道程を説明している様は正直可笑しい。
それが、自分のみならずきっと他のメンバーから見ても予定調和なたどたどしさであるのは、晶の人柄からは察するに余りあるほどに分かりやすい。
告白ですら、これほどあれこれと格好ばかり気にして踏み切れない男だ。
後は、デートの行き先とかプレゼント、デート当日に話す話題なんかで悩み過ぎて、もじもじし過ぎて相手にじれったく思われないように気をつけろとご丁寧に忠告を添えたくはなるものの、敢えて口にはしない。どうせ黙ってたらもてる容姿なのだ、恋愛相手に困らない素養を生まれつき備えているような友人にこちらが説教垂れるのはおこがましいではないか。
…いや、ひがみとかそういうのではなく。そりゃ、少しは苦労しろよとは思ってる。今度の恋のお相手は誰から見ても最上級レベルなのだし。…と、思ってるが、やはり言わない。言うだけ野暮だ。
「ともかく、これで僕の旅の目的は全部果たせたよ。実家にも帰ったし、杏奈さんにも告白出来たし」
ありがとね、と囁くように言われ、ただ微笑み返す。
晶の全身から、抜けるように疲労が滲むのが見透かせる。一仕事終えた男の、心地よい休息の姿。
「…とまあ、とりあえずグラバー園での夜デートは来年へお預けになっちゃったけど、よく頑張ったと思うな僕」
「充分花丸だよ。東京帰ったら、ダブルデートでもすっかね」
「おや庵にしてはいいアイデア」
「おやおや俺だってたまには気の効いたアイデアくらい出しますよ」
「おやおやおや」
「まあまあまあ」
お互いに吹き出すと、意味無く腹の底からクックックと顔を見合わせて笑いを堪える。
「何言ってんだ俺らは全くもう」
「つかニヤニヤしすぎてきもいね僕ら」
「幸せだからいいんじゃね」
「お互いにね」
「な」
「日焼けが痛いな」
「俺まだ頭少し痛いわ」
「大丈夫?何か飲む?」
「平気。ありがと」
後はなしくずしでとりとめなくだべり、一時間後に晶は入った時と同じくはにかみながら「じゃあ」と部屋を後にした。
【8月14日・あらあらうふふ・続く】
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