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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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影揺れる。

*

はあ、はあ。
はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…。

金属質のノイズが混じった、幼い息切れが仮面の奥からこぼれて消える。
だが、その体躯は大の男でも尻込みしそうなほどに逞しい。
盛り上がった筋肉を覆う喪服は所々で赤黒い切れ目を生じ、背負った無数の棺桶を重たそうに引きずって、死神は寂れた港の路地裏に倒れ込んだ。
三角ベースくらいは出来そうな、草も伸び放題の空き地。
スリーオンスリー用の錆びたバスケットネットが頭上で揺れている。

「…フタバ」

血生臭い風が、フルメタルの仮面を凪いでいく。
未だ春の気配すらない、冷たく滞った寒波の波から主人を守るように、死神は腕に抱いていた少年の横顔を覗く。
瞼を重く閉ざし、力無くぐったりと横たわる少年。
血の気は幾分か戻ったように思うが、物憂げな寝顔を見つめて死神は悲しげに短く呻いた。

死神の残像が揺らめき、小さな残像へと変容する。

残された残像、ストライプ服の幼い少年=ファルロスは手をつき膝を折り、苦しげに肩で息をしながら少年=双葉に這い寄る。

「…駄目だ、もう、力、出ない…」

彼の心の海に寄生し、無意識に働きかける事でこれまでは具象化してきたが、被ダメージ量が多すぎたようだ。
今の小さな物量すら、影時間の中でさえ息苦しい。
全身をけだるい疲労と眠気が包んで離そうとしない。
彼の心の海…やさしい水面のゆりかごに戻りたい。

だが。

「まだ…まだ影時間が終わらない…次に…あの男か、シャドウが来たら…」

殺される。
自分だけでなく、双葉も。
それは。
それだけは絶対に駄目だ。

「…フタバ」

そっと呟く。
聞こえる事の無い、囁き。
いつか、己の存在の意味が、今ここで彼と共に居る理由を知る事が出来たら、きっと届くと思っていた声。
それを伝える事無く、ただの半端な存在として、彼に思い出される事もなく、知られる事もなく消えたくない。
だけど。

「…ゴメン。ゴメンねフタバ。ぼくにもっと、力があったら…」

なんとなく、だけど確信を持って知っていた事。
フタバが傷つき、不幸になってしまった原因。
今、心ない大人達から襲われ、訳も分からず苦しめられている元凶。

それは、自分だ。

どこにも行けない。
彼の側から離れられない。
だけど。
僕は一番大好きな彼を、苦しめる事しかしていない。

「…ぼく、ぼく、君を守る事だけがぼくの出来る唯一の存在の証だと思ってた…なのに、もう、君を守る事すら…」

胸が苦しい。
頭が痺れて、声が掠れる。
苦しい、苦しい、苦しい…ごめんなさい、ごめんなさい…フタバ…。

肩を落とし、俯いていると、ふいに頭に柔らかい感触が触れる。
え?と思い顔を上げると、フタバがうっすらと目を開けてこちらを見ていた。












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