犬の心、人知らず。
*
「犬の名前で神話や物語って言うなら、ジロウで良くないか」
何それ?という顔をしている二人にモヒはチーカマをかじりながら「西遊記」とそっけなく答える。
「二郎真君。犬猿の仲の元ネタになった、孫悟空の天敵みたいな武勇の神様」
「でも兄弟がいるわけでなし、ジロウって次男坊みたいだし」
「ぬう…ではロン毛、二郎真君の犬から取ってコウテンケンは」
「長い。むしろ意味わかんない。…さては、次のミラマトは中華っ娘が出ると見た」
「ぐぬぬ…じゃあ中華系からは離れる。…でも神話系ってごつい名前しかないぞ」
「ケルベロスとか?」
「あっ、そうだケルト神話の英雄神クーフーリンってクランの番犬って意味ですよね?じゃあホリンとか!」
「ポニちゃんそれって穴掘ってるっぽくねえか」
「もー!イメージが貧困ですよモヒさん!他にはガルムとかオルトロスとか、あんまりかっこいいモチーフがないんです!文句言わない!」
「そうだよモヒ、文句言わない!」
「」
もう奇抜なのじゃなくて普通のでいいじゃん…とモヒが言おうとした矢先、ドアがノックも無しにガチャリと開いた。
「おっすおーっすーモヒちゃんはっけーん」
「げえ!ツインテ先輩!」
げえ、とは何よー、と、あからさまに大学生と呼ぶには幼顔なツインテール美少女が部室につかつかと入ってくる。
「モヒ、この方は?」
「俺の同人の大先輩…あ、この人もう結婚してて息子さんもいらっしゃるから。中学生の」
今度はロン毛とポニ子がげえ!と呻く。
ツインテ先輩は慣れた様子で「そうなのよ~~」とまったり笑顔でテヘペロ☆さえしてみせる。
「モヒちゃんがね~、前回のコミケでの約束守ってくんないから、督促に来たよ~」
「あ…ああ…あれはまた今度…つか、あと半月で公式サイトの仕事済むんでそれまでも少しだけ待ってくださいってば…」
「んもう~~!そうやってズルズル閉め切り伸ばして、ダメじゃん!」
「一体何をお願いしたのですか?」
「え~~?ミラマトのオールキャラ集合絵だよぅ~。いつもコミケでレジやる代わりに、キャラの衣装指定してお願いさせてもらってるの~~」
「ほほう!して、それはどんな…」
みんな大好き爆発的人気ゲームミラクル☆マトリクスには、その場の全員で食いつかざるを得ない。ツインテ先輩はニコニコ笑顔で「それはね~」と口を開く。
「ごめんなさい後三日で仕上げますのでここで公表はやめてくださいお願いします」
「え~~~~、別にいいじゃん減るもんじゃなし~~~」
「だって、それを俺が嬉々として描いてると思われるのが…」
「いいじゃんフルメンバー白黒ゴスロリメイドwith黒パンスト指定の何が悪いっての~~?」
「オゥフ」とロン毛が嘆息を漏らしたことで、モヒの顔色が一気に青から赤黒くなり、そのまま俯き顔を見せようとしない。
「もー!だらしないぞっ!あたしはこないだからパンスト萌えなの~~。だからリクエストしたのに、ウダウダ仕事仕事言って描いてくれないから~~」
「あ…いえその…描いてます…」
「超ハイテンションでギンギラギンであからさまに強烈な神絵を(ロン毛予想)」
「しかもニーソックス型絶対領域標準装備仕様パンストの子も混ざっていると思われますよツインテさん!(ポニ子黄金仁人形を供する勢いで予想)」
「何で分かるんだよ…」と、モヒの口から弱々しい敗北宣言がひねり出された事で一応の満足を得たらしいツインテ先輩は、ニカッと歯を見せて笑いそのまま部室に居座った。今日は旦那出張息子部活合宿で暇この上ないそうで。
「で、ワンコちゃんの名前~?そうだな~ポチメロンでいいんじゃない?」
チーカマをかじりながら、非常にツッコミどころ満載な提案に一同苦笑いを浮かべる。
「何でポチに、メロン…」
「その1・高級感。その2・命名の意図を問われたらデカメロンと答えてインテリなふりが出来る。その3・なんとなく今夕張メロン食べたい気分だったから。かな~」
「先輩頼みますから真面目に頼むますてば…」
「え~~~~、あたし超真面目だよいつだって」
「」
モヒが数えきれぬほどに苦虫顔を作り出したところで、「おまち!」とデフォップルが部室に入って来た。と、その瞬間を子犬は見計らったかのように呆然とするモヒの膝上から飛び跳ねるように退き、ドアの隙間から駆け足で出て行ってしまった。
…一瞬、「あれ?」と言いたげに後ろを振り返ったが、彼の視線の先にいたのは残念かなデフォ男であり、ご主人は彼の物陰に見えたが「あ、みっけ!」とデフォ男に手を伸ばされたのが相当イヤであったのだろう、そのまま彼の二の腕を甘噛みし、嫌悪も露わに駆け去ってしまったのであった。
【続きは月末予定(予定)です】
「犬の名前で神話や物語って言うなら、ジロウで良くないか」
何それ?という顔をしている二人にモヒはチーカマをかじりながら「西遊記」とそっけなく答える。
「二郎真君。犬猿の仲の元ネタになった、孫悟空の天敵みたいな武勇の神様」
「でも兄弟がいるわけでなし、ジロウって次男坊みたいだし」
「ぬう…ではロン毛、二郎真君の犬から取ってコウテンケンは」
「長い。むしろ意味わかんない。…さては、次のミラマトは中華っ娘が出ると見た」
「ぐぬぬ…じゃあ中華系からは離れる。…でも神話系ってごつい名前しかないぞ」
「ケルベロスとか?」
「あっ、そうだケルト神話の英雄神クーフーリンってクランの番犬って意味ですよね?じゃあホリンとか!」
「ポニちゃんそれって穴掘ってるっぽくねえか」
「もー!イメージが貧困ですよモヒさん!他にはガルムとかオルトロスとか、あんまりかっこいいモチーフがないんです!文句言わない!」
「そうだよモヒ、文句言わない!」
「」
もう奇抜なのじゃなくて普通のでいいじゃん…とモヒが言おうとした矢先、ドアがノックも無しにガチャリと開いた。
「おっすおーっすーモヒちゃんはっけーん」
「げえ!ツインテ先輩!」
げえ、とは何よー、と、あからさまに大学生と呼ぶには幼顔なツインテール美少女が部室につかつかと入ってくる。
「モヒ、この方は?」
「俺の同人の大先輩…あ、この人もう結婚してて息子さんもいらっしゃるから。中学生の」
今度はロン毛とポニ子がげえ!と呻く。
ツインテ先輩は慣れた様子で「そうなのよ~~」とまったり笑顔でテヘペロ☆さえしてみせる。
「モヒちゃんがね~、前回のコミケでの約束守ってくんないから、督促に来たよ~」
「あ…ああ…あれはまた今度…つか、あと半月で公式サイトの仕事済むんでそれまでも少しだけ待ってくださいってば…」
「んもう~~!そうやってズルズル閉め切り伸ばして、ダメじゃん!」
「一体何をお願いしたのですか?」
「え~~?ミラマトのオールキャラ集合絵だよぅ~。いつもコミケでレジやる代わりに、キャラの衣装指定してお願いさせてもらってるの~~」
「ほほう!して、それはどんな…」
みんな大好き爆発的人気ゲームミラクル☆マトリクスには、その場の全員で食いつかざるを得ない。ツインテ先輩はニコニコ笑顔で「それはね~」と口を開く。
「ごめんなさい後三日で仕上げますのでここで公表はやめてくださいお願いします」
「え~~~~、別にいいじゃん減るもんじゃなし~~~」
「だって、それを俺が嬉々として描いてると思われるのが…」
「いいじゃんフルメンバー白黒ゴスロリメイドwith黒パンスト指定の何が悪いっての~~?」
「オゥフ」とロン毛が嘆息を漏らしたことで、モヒの顔色が一気に青から赤黒くなり、そのまま俯き顔を見せようとしない。
「もー!だらしないぞっ!あたしはこないだからパンスト萌えなの~~。だからリクエストしたのに、ウダウダ仕事仕事言って描いてくれないから~~」
「あ…いえその…描いてます…」
「超ハイテンションでギンギラギンであからさまに強烈な神絵を(ロン毛予想)」
「しかもニーソックス型絶対領域標準装備仕様パンストの子も混ざっていると思われますよツインテさん!(ポニ子黄金仁人形を供する勢いで予想)」
「何で分かるんだよ…」と、モヒの口から弱々しい敗北宣言がひねり出された事で一応の満足を得たらしいツインテ先輩は、ニカッと歯を見せて笑いそのまま部室に居座った。今日は旦那出張息子部活合宿で暇この上ないそうで。
「で、ワンコちゃんの名前~?そうだな~ポチメロンでいいんじゃない?」
チーカマをかじりながら、非常にツッコミどころ満載な提案に一同苦笑いを浮かべる。
「何でポチに、メロン…」
「その1・高級感。その2・命名の意図を問われたらデカメロンと答えてインテリなふりが出来る。その3・なんとなく今夕張メロン食べたい気分だったから。かな~」
「先輩頼みますから真面目に頼むますてば…」
「え~~~~、あたし超真面目だよいつだって」
「」
モヒが数えきれぬほどに苦虫顔を作り出したところで、「おまち!」とデフォップルが部室に入って来た。と、その瞬間を子犬は見計らったかのように呆然とするモヒの膝上から飛び跳ねるように退き、ドアの隙間から駆け足で出て行ってしまった。
…一瞬、「あれ?」と言いたげに後ろを振り返ったが、彼の視線の先にいたのは残念かなデフォ男であり、ご主人は彼の物陰に見えたが「あ、みっけ!」とデフォ男に手を伸ばされたのが相当イヤであったのだろう、そのまま彼の二の腕を甘噛みし、嫌悪も露わに駆け去ってしまったのであった。
【続きは月末予定(予定)です】
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