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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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白の中の黒。
*

一度壊れた心は、戻らなかった。
榎本が施した治療は、双葉の「孤独」という名の「畏れ」を封印しただけの代物。
双葉は、心のどこかで分かっていたんじゃないのか?

自分の内なる力。
曲げられ、歪められた、行き場の無い苦痛と悲しみを埋め込まれた、制御もままならぬ「死」の仮面…。
望みもせず、誰もが畏れる強大な「死」の力をその身に無理矢理受胎させられ、挙げ句そのせいで外部のあらゆる人間から畏れられ、狙われ、そして疎外され…。
怖いのだ。周囲に誰も己の力を理解する者がいなくなるのが。
知っていたのだ。俺が、双葉のペルソナ能力も、心の孤独も知って側に居ることを。

だが忘れた。忘れたふりをした。
思い出さなくなり、知らないふりをし、悪夢のような出来事も気がつけば記憶は改ざんされて消えていた。

それは俺の陳腐な催眠術のせいなんかじゃない。

今分かった。
双葉が、己自身の意志で、無意識の内に、記憶と感情を操作していただけだ。
思い出せば、今自分を包んでいる、ささやかな幸福が消えてしまうと心の奥で気付いていたから…。

それなら。
それなら、俺が今までしてきた事は、一体…?

「いってきまーす」と言う声と共に、背後でドアが閉まる音がした。
腕の中にずっしりとした重みがのしかかり、今目の前に広がる「光景」に押し戻される。

おくるみ。
双葉が大切に抱えていた、俺とあいつの子供と呼ぶ「何か」。
柔らかい、純白の綿生地に埋もれた赤子の顔を覗き込み、俺は目を剥き言葉を失った。

黒い。
肌も、小さな爪も、どす黒いタール色状の、ぬめぬめとした光沢の肌を持つ、黒い赤ん坊。
目は孔が二つ穿たれているだけで、目の奥には暗闇以外何も見えない。
鼻も、口も、申し訳程度に孔が開いているだけ。その孔から、泣き声が漏れる。

黒い薄気味悪い粘土の赤ん坊が、奇声を挙げて泣いている…。

ホギャアア ホギャアア ホギャアアアア アア アアアアン…

黒い赤ん坊を抱き抱えたまま呆然と立ちつくす俺の耳元に、囁く声が聞こえた。

『さあ、そいつを殺せ。それが何か…言わなくても、分かるな?』

「もう一人の俺」の声がする。
言われるままに、俺はそっと右手を伸ばし、赤ん坊の首に掌を回した。












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