陰一人。
*
「…うぅ」
太股の鈍い痛みで目を覚ます。
煤けて血なまぐさい、冷え切ったアスファルトの壁にもたれかかる。
廃墟と雑居ビルの間。
空には煌々と影時間を照らす陰鬱な満月が見える。
全身がけだるい。
思考が鈍い。
何もかもが面倒でならない。
俺は何故ここに居る。
何故ここに来た。
何一つ為しえる事も出来ず、無駄に生きあがいている。
結局、あいつへの手向けにもならなかった。
俺は何一つ妥協せずに選んできた。
だが、手元に何一つ残るモノは、無い。
友も、親も、…娘も。
これが、あの日の「罰」だというなら。
神よ。
あんたは残酷すぎる。
俺には、何一つ得心も満足も与えてはくれない。
それは、俺が望まれて産まれた存在ではないからか。
世界を回すネジとしても不良品の、
別段必要のない、イレギュラーだからなのか。
それでも。
それでも俺は…。
*
「堂島」
失血から来る貧血で朦朧としていた堂島は、ふいの呼びかけに顔を上げる。
そこに居たのは、意外な人物だった。
一瞬、夢か現かの判断が付きかねて言い淀んでいると、相手は思い出と同様に歯を見せて笑った。
「…うぅ」
太股の鈍い痛みで目を覚ます。
煤けて血なまぐさい、冷え切ったアスファルトの壁にもたれかかる。
廃墟と雑居ビルの間。
空には煌々と影時間を照らす陰鬱な満月が見える。
全身がけだるい。
思考が鈍い。
何もかもが面倒でならない。
俺は何故ここに居る。
何故ここに来た。
何一つ為しえる事も出来ず、無駄に生きあがいている。
結局、あいつへの手向けにもならなかった。
俺は何一つ妥協せずに選んできた。
だが、手元に何一つ残るモノは、無い。
友も、親も、…娘も。
これが、あの日の「罰」だというなら。
神よ。
あんたは残酷すぎる。
俺には、何一つ得心も満足も与えてはくれない。
それは、俺が望まれて産まれた存在ではないからか。
世界を回すネジとしても不良品の、
別段必要のない、イレギュラーだからなのか。
それでも。
それでも俺は…。
*
「堂島」
失血から来る貧血で朦朧としていた堂島は、ふいの呼びかけに顔を上げる。
そこに居たのは、意外な人物だった。
一瞬、夢か現かの判断が付きかねて言い淀んでいると、相手は思い出と同様に歯を見せて笑った。
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