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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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振り向かない。

*
「ペルソナは使えるか?体調はまだ平気か」
「ん?ああ、病院で試しておいた。幾月の部下…なんだろうな、影時間に襲ってきやがったから、のしといた。
身体はびっくりするぐらい軽い。今ならフルマラソン完走も出来そうだ」

「…注意しておく事がある。成瀬、お前は俺をどうやって発見した?」
「?…普通に、目視でだが」
「そうか。…ではもう一つ。自動でステルスが解除される時間は?」
「榎本のあれか?それなら、あいつ自身が解除しない限り効果は持続するんじゃなかったか?」
「…やはり、か。…ステルスが消えている」
「榎本と合流していたのか?!」

驚く陽一をよそに、堂島は「ああ」と呟いてぎこちなく立ち上がると、ビルの谷間に浮かぶ巨大な濃緑色の満月を仰ぎ見る。

「エウリュディケの実験がなされ、死神とも拳を交えたが嫌な横やりが入ってな…すんでのところであいつに救われた。だが、死神の元に行くと言ったら、無理矢理昏倒させられてしばらく気絶していた…不覚だ。
しかし、そこから推測するに、どうも時間の流れがおかしい。
本来なら、もうとっくに影時間は終わっている。だが、未だ街は眠ったまま。死神の気配も、あの巨大シャドウの気配も感じないが、どうやら奴らの存在が俺達を影時間に引き留め続けているようだ。俺の体感時間で、既に一時間以上は過ぎている。こんな事は、最初の爆発事故の時以来だ」
「何だと…堂島、さっき『あの巨大シャドウ』と言ったな。フィレモンも同じような事を言っていた。教えてくれ、そいつはなんなんだ!?」
堂島の表情が、すぐに冷静な研究者としての真剣な面差しに変わる。
「俺達内部の者は、頭頂部の仮面に付いた番号から『愚者』と呼んでいる。
『鬼さんこちら』を歌いながら現れる、正体不明の巨大シャドウ…ずっとお前達の転勤先を付け狙うように移動を繰り返し、その度に各地で人間を襲い、シャドウを吸収し、今までの観測でも最大級の大きさに膨れあがっている」

おーにさんこーちら てーのなるほうーへ…
陽一の脳裏に、数年前の奇妙な巨大シャドウの姿がありありと思い出される。
あれは偶然出くわしたのではなく、自分を、いや双葉を追っている…?

「『愚者』は死神と融合を目指しているのかと思っていたが、そうではないらしい。それどころか、むしろ死神に襲いかかり、亡き者にしようとしている。だが、どちらが倒されようと勝利したシャドウは新たな力を得る。それだけは避けなければならないと、榎本はお前の息子を探しに行ったきりだ。俺の力では、ペルソナの共鳴もよほど近距離にいないと把握出来ん。お前はどうだ?」
「昔とそう対して変わっちゃいねえよ。とすると、今一番危険に晒されてるのは榎本と双葉か?」
「そうなるな…榎本の事だ、もうお前の息子は見つけただろうが、おそらく時間切れを見越してペルソナ能力を乱発しているはずだ。だとすれば、消耗も激しいはず。あれから思念波はおろか、何の連絡も無い。俺のステルスが解除されたのは、やむを得ん事態で自分のために使っているからだと思いたいが…ともかく、早く行ってやれ」
「心得た。が、その前に」

陽一は、ポケットから白銀に煌めく無地のタロットを静かに引き抜く。
図柄のあるべき白地を見ると、微かながらも像が揺らめいているのが分かった。

「お裾分けだ」
力が絶え間なくこぼれるタロットをかざすと、堂島に癒しの波動を流し込む。
堂島の全身が、汚れない光の球体で包まれ浄化される。
今までに無い、痛みの消失と身体の軽さに、堂島も思わず目を見開いた。

「何だこれは?スーリヤのディアラハンよりも、随分効きが良いような…」
「だから言っただろ?フィレモンがサービスしてくれたんだよ。こいつが切り札、って訳さ」
「なるほどな…フフ、安心した。成瀬、月に向かって走れ。少し前から周囲にシャドウの気配を感じるが、それらが全てあっちの方角へ向かっている。愚者、もしくは死神が奴らの向かう中心に居るはず。背後は気にするな。俺が露払いをしてやる」
「すまん…だが無理だけはするなよ」
「無論。お前のような無茶はしない。…だが、俺のように悔いを残したまま、死ぬなよ」
「そんな縁起でもない事言うなって。…俺、お前には長生きして欲しいしさ」

去り際、成瀬は駆け出そうとした足を一瞬止めて、振り向かず叫んだ。

「堂島、お前も自由になれよ。…きっと、お前は俺よりずっといい父親になれる!」

友の背中を見送ると堂島は静かに微笑み、懐から召喚機を引き抜く。

「さてと」

振り返れば、機を見計らっていたかのように無数の黒い陰がゲル状になり、物陰から幾重にも染み出してきた。
その数は、みるみるうちに増えていく。

「もうひとふんばりか」

堂島は召喚機をこめかみに構えると、ためらわず引き金を引いた。












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