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隣人は静かに微笑む。
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隣人は静かに微笑む。
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「…!!」
同調していた榎本の胸元にまでえぐるような激痛が走り、息が詰まって現実に強制送還される。
げほげほと、むせ返りみっともなく咳ごむ。
息するのも辛いほど、生々しくはっきりと全身に残る痛みを伴う悪夢の痕跡に、榎本は言葉も無くぐったりした。
「……はあ、はあ…これは、厳しいな…」
治療以前に、意識の力とレベルが強力過ぎる。これでは逆に双葉君の過去や意識に囚われて気が触れてしまいそうだ。
今まで側にいたが、ここまで強烈な負の記憶は見えなかった。
やはり、記憶が…。
「…ーさん、………おとー さ ん たす け …」
微かな叫びを残し、双葉の全身から力が抜け落ちる。
消去したはずの記憶が、心の海の底で再び像を成して揺らめいている。
確信を得て、榎本は戦慄した。
「…フタバの記憶、もう止められないよ」
物陰から様子を伺っていたらしい、ファルロスは姿を現すと双葉の傍らに腰を下ろす。
微熱があるらしく、紅潮した双葉の頬や額を心配そうに撫でると、顔を上げ榎本をまっすぐに見つめる。
「予感、何だったのか分かった気がする。あいつだ。あいつは、僕の疑問に答えてくれる存在。僕が何者なのか、知っている。そんな気がする」
「あいつって…さっきの『愚者』のシャドウの事」
「『愚者』って言うんだ、あいつ」
「あ…」
またしくじったと、バツが悪そうに下を向く榎本にファルロスは容赦なく畳みかける。
「おじさん、戦うのは苦手みたいだよね。いいよ、僕戦うから。双葉を守るためだけど、ついでに」
「それは駄目だ!君と彼奴が触れ合えば、融合を起こしかねない!そうなったら…」
「フタバにも害が及ぶ?でもね、きっとあいつを振り切るのは不可能だと思う。感じない?今この近辺に大量のシャドウが寄ってきているのが…あれは直に奴らと合体し同化する。一時的に力を極限まで上げて、僕らを追いつめようとしてる…今だって、こんなに離れているのに強く力を感じる。異常なほど膨れあがって、そこまでしてフタバと僕を追いつめようとしてる。…まだまだ影時間は明けない。逃げ続けられると思ってるの?」
「逃げ切るさ。双葉君を君の生け贄にする訳にはいかないし、奴らの餌食にする気も無い!!」
榎本の強い反対に、ファルロスは大人びた表情でやれやれとため息を漏らした。
「強がりは良くないと思うけどな…まあいいや。僕も正直万全じゃないし、双葉の心も随分疲れ切っている。出来れば戦闘は避けたいと思ってたんだ。…連れて行ってくれるよね?そのために、僕も探してたんでしょ?」
…お見通しで、そんな事言ったのか。榎本はつくづく自分の迂闊さが悲しくなった。
しかし、予定通りではある。後は、逃げるのみ。
…ファルロス=死神の記憶と存在は、後回しにして考えよう。
今は死神の手だって借りたいぐらい大ピンチな訳だし。
気を失った双葉を背負うと、榎本は精神を集中させる。
「…よし、西だ。行こう!」
シーサーの背にファルロスが跨ると、影の気配を縫うようにレトリバーはビル街の谷間へと駆け出した。
「…!!」
同調していた榎本の胸元にまでえぐるような激痛が走り、息が詰まって現実に強制送還される。
げほげほと、むせ返りみっともなく咳ごむ。
息するのも辛いほど、生々しくはっきりと全身に残る痛みを伴う悪夢の痕跡に、榎本は言葉も無くぐったりした。
「……はあ、はあ…これは、厳しいな…」
治療以前に、意識の力とレベルが強力過ぎる。これでは逆に双葉君の過去や意識に囚われて気が触れてしまいそうだ。
今まで側にいたが、ここまで強烈な負の記憶は見えなかった。
やはり、記憶が…。
「…ーさん、………おとー さ ん たす け …」
微かな叫びを残し、双葉の全身から力が抜け落ちる。
消去したはずの記憶が、心の海の底で再び像を成して揺らめいている。
確信を得て、榎本は戦慄した。
「…フタバの記憶、もう止められないよ」
物陰から様子を伺っていたらしい、ファルロスは姿を現すと双葉の傍らに腰を下ろす。
微熱があるらしく、紅潮した双葉の頬や額を心配そうに撫でると、顔を上げ榎本をまっすぐに見つめる。
「予感、何だったのか分かった気がする。あいつだ。あいつは、僕の疑問に答えてくれる存在。僕が何者なのか、知っている。そんな気がする」
「あいつって…さっきの『愚者』のシャドウの事」
「『愚者』って言うんだ、あいつ」
「あ…」
またしくじったと、バツが悪そうに下を向く榎本にファルロスは容赦なく畳みかける。
「おじさん、戦うのは苦手みたいだよね。いいよ、僕戦うから。双葉を守るためだけど、ついでに」
「それは駄目だ!君と彼奴が触れ合えば、融合を起こしかねない!そうなったら…」
「フタバにも害が及ぶ?でもね、きっとあいつを振り切るのは不可能だと思う。感じない?今この近辺に大量のシャドウが寄ってきているのが…あれは直に奴らと合体し同化する。一時的に力を極限まで上げて、僕らを追いつめようとしてる…今だって、こんなに離れているのに強く力を感じる。異常なほど膨れあがって、そこまでしてフタバと僕を追いつめようとしてる。…まだまだ影時間は明けない。逃げ続けられると思ってるの?」
「逃げ切るさ。双葉君を君の生け贄にする訳にはいかないし、奴らの餌食にする気も無い!!」
榎本の強い反対に、ファルロスは大人びた表情でやれやれとため息を漏らした。
「強がりは良くないと思うけどな…まあいいや。僕も正直万全じゃないし、双葉の心も随分疲れ切っている。出来れば戦闘は避けたいと思ってたんだ。…連れて行ってくれるよね?そのために、僕も探してたんでしょ?」
…お見通しで、そんな事言ったのか。榎本はつくづく自分の迂闊さが悲しくなった。
しかし、予定通りではある。後は、逃げるのみ。
…ファルロス=死神の記憶と存在は、後回しにして考えよう。
今は死神の手だって借りたいぐらい大ピンチな訳だし。
気を失った双葉を背負うと、榎本は精神を集中させる。
「…よし、西だ。行こう!」
シーサーの背にファルロスが跨ると、影の気配を縫うようにレトリバーはビル街の谷間へと駆け出した。
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